診療科のご案内


統合失調症治療センター

統合失調症治療のご案内

  • 統合失調症は、
    脳の病気であり、かつこころの病気ですから、統合失調症の治療では、脳というからだの器官の病気として、脳に作用しドーパミンのはたらきを調整する物質である薬(抗精神病薬)を用いた治療と、こころの病気としての心理社会的・人間関係的側面からの治療が必要です。
  • 統合失調症は、
    当院の渡部センター長が提唱する「教育‐対処‐相談モデル」で治療するのが効果的です。(→詳しくはこちら
  • 薬物療法は、
    患者様の病状を軽減し、患者様に落ち着いてもらうためには欠かせないものです。しかし、統合失調症の治療全体を通して見たときには、薬物療法は、目立つ幻聴や妄想などの症状をなくすために必要なのではなく、患者様が、病気に打ち勝とうとする努力をし続けられるための態勢を作り維持するために必要なものと、位置づけられるべきです。
  • 心理社会的治療法としては、
    患者様が、統合失調症を人間的な病気(患者様が病気をいかに理解し、病気といかに付き合えられるかが治療上重要となりますので、“人間的”と言えます)として受け入れ、患者様が病識を持てるようになり、症状への対処術や病気の管理法を身につけられるようになるための患者心理教育が有効です。また、ご家族様が家族心理教育などを受け、病気を理解し患者様をうまくサポートできるようになることも治療上大切です。
「教育-対処-相談モデル」とは

渡部センター長が提唱している統合失調症治療モデルです。統合失調症の患者様が、患者心理教育を受けることにより病識を持ち、統合失調症という病気を受け入れ、幻聴や妄想などの症状に対処する技術を身につけ、うまく対処していき、病気なのは自分だけではなく仲間と一緒に回復に向かうことができると気付けば、患者様のレジリエンス(抗病力、自然治癒力)が高まり、病状は安定し、患者様は周りの人にうまく病気や生活について相談できるようになるでしょう。このように、患者様がうまく相談し続けられていることが回復していることであるとする統合失調症治療の実践論です。 患者様が周囲の人々にうまく相談できている姿こそが、ノーマライゼーション(健常者とともに生きること)であり、統合失調症から回復している状態、言い換えれば、“統合失調症の治っている姿”だと言え、このようになることが統合失調症治療の目標です。
ですから、統合失調症治療は、決して薬物療法だけで事足りるものではなく、薬以外の心理社会的治療が重要であるということを「教育-対処-相談モデル」は示しています。