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不安障害
人間が生きていく上で、不安というのは大切な要素でもあります。不安になることで、危険な環境から離れるような信号を自ら作り出しているわけです。正常なレベルでの不安は誰にでもありますから、不安が多少強いからといって、特に異常ではないことも多いです。ある環境で出現すると予想される不安のレベルよりも、はるかに強い不安が出現したり、普通は不安が出現しないような環境で強い不安が見られる場合を、不安の異常な状態として「不安障害」といいます。不安障害の代表的なものを述べます。
パニック障害
「パニック発作」と呼ばれる、ある環境で出現する比較的短時間の不安と、それに付随した動悸や呼吸困難などの自律神経症状が、特徴的です。その環境で1回だけとか、とても稀にしかパニック発作が出現しない場合には、パニック障害とはいいません。あくまで、その環境で頻回にパニック発作が起き、その場所や状況を避けたくなるような状態を、パニック障害と診断します。例えば、電車に乗ると不安が強くなりパニック発作が出現するような場合や、自動車で高速道路に乗るとパニック発作が出現する場合などが典型的です。パニック発作は不快なため、その場所や環境を回避して生活することが多くなります。
パニック障害は、パニック発作自体が特徴的な症状なので診断は簡単なことが多いです。ただし、いわゆる「パニックになっている」こととパニック発作を間違えないようにしましょう。
薬物療法によって、パニック発作が減少することが多いです。また、認知療法、行動療法などの薬物以外の治療も効果があります。
強迫性障害
非常に強く反復的に侵入し、不安を強く惹起する観念を強迫観念といい、その強迫観念に基づいて反復的に行動することを強迫行為といいます。強迫行為は、それ自体が不安を下げるように働きますが、反復的で時間が掛かることも多いため、生活上の困難が出現します。
典型的な例として、いわゆる「不潔恐怖」が挙げられます。不潔だと感じる場所に触れると「汚い場所を触ってしまった」という強迫観念が出現し、手を洗うという強迫行為が見られます。
強迫観念、強迫行為について、患者様本人は「おかしい気持ちや行動だと思っている」ことが普通です。そういう点で、妄想的になってしまう統合失調症などの精神病とは区別できます。
治療としては、薬物療法と行動療法が用いられます。
外傷後ストレス障害、急性ストレス障害
災害、戦争、暴力、事故などによる感情的ストレスによって、その後も継続して不安、抑うつ、注意集中困難などの症状が出現するものです。
薬物療法、精神療法(医師の面接による治療)を組み合わせて治療しますが、ご家族様による支援や心理社会的療法が症状を軽くすることが多いです。